こんにちは、あやぞうです。
長い梅雨も明け、子供たちも夏休み突入!
いよいよ本格的な海水浴シーズンの到来です。
海水浴といえば楽しい夏のレジャーの代表ですが、一方で毎年多数の水難事故が発生しています。
2018年の夏期(7~8月)の統計によると、水難者数は595人で、そのうち242人は亡くなるか行方不明になっています。
水難者全数のうち117人は中学生以下の子供で、死者・行方不明者は14人とのこと。
情報元:警察庁生活安全局地域課「平成30年夏期における水難の概況」より
子供を持つ親として、水難事故は決して他人事ではありませんよね。
今回は、そんな水難事故を防ぐために知っておきたい情報をまとめました。
夏休みは海水浴に行くよ!というみなさんには是非読んでいただきたい内容です。
水難事故の原因、トップは「海」
水難事故は、全体の半数以上が海での魚とり・釣り・水遊び中に起こっています。
「遊びに夢中になっていて、知らないうちに流されていた」という話はよく聞きますが、なぜ「知らないうちに流されて」しまうのでしょうか?
一般的には「打ち寄せた波が引くときのいわゆる“引き波”で流されてしまう」と思っている人が多いかと思いますが、実際の海にはみなさんが想像する“引き波”をはるかに超える流れが存在します。
それが“離岸流”です。
水泳選手でも逆らえない“離岸流”とは?
離岸流とは、以下のような引き波の中でも特に強い流れのことをいいます。
海岸に打ち寄せた波が沖に戻ろうとする時に発生する強い流れのことです。
波は沖から海岸へ打ち寄せますが、海水はどんどん岸に貯まるので、どこかから沖にもどろうとします。
この時、岸から沖の方へ向かって一方的に流れる速い流れのことを離岸流(リップカレント)と呼びます。
引用元:「離岸流」第九管区海上保安本部海洋情報部
https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN9/ripcurrent/ripcurrent.htm
速さは最大で1秒間に2m(人の早歩きと同じぐらい)となることもあり、水中での体感はもっと早く感じられるため「水泳選手でも逆らって泳ぐことはできない」とも言われているほどの強さになります。
離岸流の長さ(岸から沖までの距離)は数10m~数100mで、岸から離れるにつれて流速は弱まっていきます。
また、幅は10~30mとあまり広くなく、砂浜の整地や入れ替えなどで流れや発生状況が変化します。
離岸流が発生しやすい場所と現地での見分け方
離岸流には、もともと立地的に発生しやすい場所と、諸々の条件が重なって発生しやすくなっている場所があります。
なるべく離岸流が発生しやすい場所は避けるのが安全ですが、海水浴場として開放されている場所でも離岸流が発生する場合もあるため、現地での見分け方も覚えておくようにしてください。
離岸流が発生しやすい場所
離岸流が発生しやすい場所の特徴
・海岸が外洋に面しているところ
・遠浅で海岸線が長いところ
・近くに人工構造物があるところ
現地での見分け方
離岸流はどこでも発生する可能性があるので、実際に海に行ったら下記のような場所がないかあらかじめ確認し、離岸流が発生する恐れがある場所には近づかないようにしましょう。
・海岸のラインが凸凹しているところ
・左右に波があるのにそこだけ波がないところ
・ゴミが集まっているところ
・波がなくても海の表面がザワザワしているところ
・海水がにごって周りと色が違っているところ
▼離岸流が発生しやすい場所の写真つき資料▼
もし離岸流に流されたらどうする?
どうしよう!沖に流されてるみたい!
もし離岸流に流されていることに気付いても、慌てて岸に向かって泳ぐのはNG!
万が一離岸流に流されてしまったら、下記のように行動してください。
・パニックにならないよう、まずは落ち着く
・可能であればまわりに知らせて助けを求める
・岸と平行に(横に向かって)泳ぎ、離岸流から離れてから岸へ向かって泳ぐ
・泳ぎが苦手な人は無理に泳ごうとせず、流れに身を任せて浮くことに専念する
沖に流されていることに気付くと、ついパニックになってしまいがちですが、離岸流につかまってしまったらどんなに一生懸命岸に向かって泳いでも意味がありません。
それどころか、無駄に体力を消耗してしまって余計に危険な状態に。
もし沖に流され始めていることに気づいたら、慌てずに岸と平行に真横に向かって泳ぐようにします。
沖への流れを感じなくなるところまで横に泳いだら、そこから岸へ向かって戻るようにすれば離岸流から脱出できます。
ただし、泳ぎが苦手な人は体力温存を最優先し、浮くことに専念して救助を待つようにしてください。
人気の大型フロートは特に要注意!
インスタなどの影響もあって、最近人気の大型フロート。
▼こんなのとか▼
▼こんなの▼
プールで使う分には何も問題はないんですが、海となると勝手が違います。
こういった大型のフロートは 、波だけでなく風の影響も大きく受けるため、たとえ離岸流がない場所でも、ほんの少しの風で簡単に流されてしまいます。
そこに離岸流がプラスされたらもう…!!
まぁ、浮き輪も何もない状態で流されるよりは、そのまま浮いていれば助かる可能性は高いですが、無駄に救助する人たちの手を煩わせることになるので是非やめていただきたいですね。
どうしても大型フロートを楽しみたい人はプールでどうぞ。
※砂浜でも風で飛んだら周りに迷惑です!
離岸流から身を守るために
「離岸流の発生しやすい場所に近づかないように」と思っていても、遊んでいるうちに風や波の影響で少しずつ移動してしまっていることがあります。
「知らないうちに流されていた」というのも、始めは安全な場所を選んで遊んでいたつもりが、徐々に離岸流のある場所へと動いてしまっていることが原因の場合もあるんです。
そうならないためにも、遊び始めの位置をしっかり覚えておき(海の家など周りとの位置関係)、常に自分がいる場所を確認しながら遊ぶようにしてください。
また、よくある子供の事故は意外と目が届く範囲で起きています。
先に述べたように離岸流は秒速2mという速さ。
一旦流れ始めたら大人が追いかけてもなかなか追いつけません。
海岸では時に離岸流よりさらに流れの強い“戻り流れ”という流れが発生することもあります。
“戻り流れ”はなんと離岸流の3倍の強さの引き波。
この“戻り流れ”で足元をすくわれてしまえば、あっという間に海の中に引きずり込まれてしまいます。
「波打ち際の浅瀬で遊んでいるから大丈夫だろう」と安心していると、戻り流れに巻き込まれてしまう可能性もあるので要注意です。
とにかく子供と一緒に海に行く時は、絶対に側を離れないようにしてください!
まとめ
私の住む地域には遠州灘という御前崎~愛知県伊良湖岬まで110キロにも渡る海岸があり、サーフィンや釣りで人気のスポットとなっています。
日本三大砂丘のひとつである中田島砂丘も有名です。
ただし、遠州灘は遊泳禁止。
なぜかというと、離岸流が発生してとっても危険だから。
そう、私たち地元民にとって“離岸流”はごく身近な現象なんです。
海の近くに住む者は海の怖さを良く知っています。
海で遊ぶ人も、きちんと海のことを知っておく必要があると思います。
みなさんもぜひこの機会に海の怖さを知って、より安全に海のレジャーを楽しめるようにしてくださいね。
では!